標高約500mのこの地にアポロン神殿を建てて、ピュティアという巫女を通じてアポロンの神託を伺った古代ギリシャの人々、紀元前8世紀頃のこと。彼らにとってここは世界の中心だった。大地のへそといわれている石まである。そこにピュティアが青銅の三脚に座って、地底からのガスを吸ってトランス状態になり、アポロンの神からの神託を告げたのだ。ピュティアというのは個人の名前ではなく、この巫女たちの役割の名称。紀元前6世紀ごろには、ギリシア全土から巡礼者が訪れて、さまざまな伺いを立てていた。重要な決断は、ここでの神託を受けてからなされていた。