アテネからデルフィへ

アテネから北西183kmのデルフィに、アポロン神殿とその周辺の遺跡群がある。

上を見上げると石灰岩の岩肌が隆起するパルナッソス山、下方はそれに対比した緑一面のオリーブ畑と糸杉がところどころに聳える緩やかな丘陵が広がる斜面、その遥か遠方に見える青い海。美しい、美しい、美しい。

標高約500mのこの地にアポロン神殿を建てて、ピュティアという巫女を通じてアポロンの神託を伺った古代ギリシャの人々、紀元前8世紀頃のこと。彼らにとってここは世界の中心だった。大地のへそといわれている石まである。そこにピュティアが青銅の三脚に座って、地底からのガスを吸ってトランス状態になり、アポロンの神からの神託を告げたのだ。ピュティアというのは個人の名前ではなく、この巫女たちの役割の名称。紀元前6世紀ごろには、ギリシア全土から巡礼者が訪れて、さまざまな伺いを立てていた。重要な決断は、ここでの神託を受けてからなされていた。

「汝自身を知れ」という言葉が、当時はこのアポロン神殿の入り口に掲げられていた。神託を受けてもその解釈は難しい。言われた通りに行動したつもりでも解釈が間違っていて結果が逆になったり。今でも、予言はどのようにも解釈できるから難しい。自らの無知のために神託をいいように解釈して結果最悪になったりすることもあるということか。

隣の考古学博物館には、この遺跡からの出土品が展示されている。歴史的背景についてはこちらの世界遺産データベースが詳しい。

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