走ることと感動が人を動かすこと

初めてハーフマラソンを走ったのは15年ぐらい前になる。マラソンを走ってみたいと思ったきっかけは、車椅子の息子を押して走るお父さんと息子の二人組がボストンマラソンを毎年走っているという、アメリカの親子の姿をテレビで見たときだ。

25年間続いたラリーキングライブというアメリカの生トーク番組が2010年まであった。15年ぐらい前のある日なんとなくその番組を見ていたら、マラソン親子がゲストとして出演していた。RickとDick Hoytさん。脳性麻痺で車椅子の息子Rickをお父さんのDickが押してマラソンを完走するのだ。しかもボストンマラソンを毎年。走っている時は自分に障害があることを忘れる、と言うRick。レースに出場しているときは本当に嬉しそうな顔だ。走っている時は自由なんだ。感動した。この親子はボストンだけでなく他にもいくつものマラソン大会に出ているし、さらにマラソンだけでなくトライアスロンまで。お父さんのDickさんは残念ながら今年80歳で亡くなった。

感動が人を動かす。こう書いてみると結構月並みな表現だけど、感動、感情の動きが人を動かす。そして、私はランニングクラブに入ってハーフマラソンを目指すことになった。それからいくつものハーフマラソン大会で走った。遅い。遅いけど毎回完走した。マラソンにも挑戦してみたが、オリンピック選手の3倍ぐらいの時間がかかる。後半は身体中痛くて泣けてくる。でも途中で関門にかかってリタイヤを余儀なくされる場合以外は、完走した。走るということは、身体だけではなく、心がものを言う。心で走る。「Yes, I can.」を何度も呟きながら。ゴールしている自分を思い描きながら走る。目標のビジュアリゼーション。目標のビジュアリゼーションがすごく大事。頭の中で何度も繰り返す、ゴールシーン。そして、本当にゴールしたときの感動。それに動かされて、また次の大会を走りたくなる。

この親子は多くの人々に勇気と希望を与えてきたのだろう。その時私もその一人になった。勇気をもらった。私にも走れるんじゃない。つまらないことで文句言ってるぐらいなら、走ってみよう。

純粋なスポーツ精神というのはスポーツをやることの喜びを楽しむことだと思う。スポーツをできることの喜び。その喜びを分かち合ってもらいたい。そんなスポーツを頑張る人たちを応援できたらな、と思って応募したパラリンピック聖火ランナー。車椅子を押して走る親子に感動して走ることを始めた私が、東京2020パラリンピックの聖火ランナーになった。アスリートの皆さん、楽しんでくださいね。
https://www.instagram.com/p/CS9XBVwnFP3/

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